「まえ」と「さき」优质

「まえ」と「さき」
　　空間くうかんを表あらわす場合ばあい
　　まえ（前）
　　正面しょうめんの空間くうかんを表あらわす
　　さき（先）
　　進すすむ方向ほうこうを表あらわす
　　「まえ（前）」にも「さき（先）」にも空間くうかんを表あらわす意味いみがある。空間くうかんを表あらわす場合ばあい、「まえ」は正面しょうめんの空間くうかんの全体ぜんたいを指さすす。一方いっぽう、「さき」は進すすむ方向ほうこうを表あらわす。なお、「正面しょうめん」とは、人間にんげんなら顔かおが向むいている方ほう、家いえならば玄関げんかんがある方ほうをいう。
　　「家いえのまえに」と「家いえのさきに」
　　「まえ」には「正面しょうめん」の意味いみがあるため、
　　家いえの前まえにコンビニがある。
　　といえば、玄関げんかんを出でてすぐ近ちかくの場所ばしょにコンビニがあることになる。
　　一方いっぽう、「さき」は進すすむ方向ほうこうを表あらわすので、
　　家いえの先さきにコンビニがある。
　　といえば、家いえの前まえの道みちを進すすんんだ場所ばしょにコンビニがあることになる。
　　時間じかんを表あらわす場合ばあい
　　まえ（前）
　　1.    基準きじゅんとなる時間きじゅんより古ふるいこと（過去かこ）を表あらわす
　　2.    近ちかい過去かこを表あらわす
　　さき（先）
　　1.    基準きじゅんとなる時間きじゅんより新あたらしいこと（未来みらい）を表あらわす
　　2.    近ちかい過去かこを表あらわす
　　「まえ（前）」にも「さき（先）」にも時間きじゅんを表あらわす意味いみがある。時間きじゅんを表あらわす場合ばあい、「まえ」は過去かこを、「さき」は未来みらいを指さす。
　　たとえば、基準きじゅんが2000年ねんならば、
　　２年前ねんまえに仕事しごを始はじめた。
　　といえば、1998年ねんに仕事しごを始はじめたことになる。また、
　　帰かえるのは、２年先ねんさきになります。
　　といえば、2002年ねんに帰かえって来くることになる。
　　基準きじゅんとなる時間じかん
　　基準きじゅんとなる時間じかんは、《今いま＝話はなしているとき》あるいは《会話かいわのなかで示しめされた時間じかん》である。
　　台湾たいわんに来きたのは、２年前ねんまえです。
　　のように、特とくに時間じかんを指定していしなければ《今いま＝話はなしているとき》が基準きじゅんである。また、
　　大学だいがくを卒業そつぎょうしたのは、台湾たいわんに来くる２年前ねんまえです。
　　のように、時間じかんを指定していしているときは《会話かいわのなかで示しめされた時間じかん》（例文れいぶんでは〈台湾たいわんに来きたとき〉）が基準きじゅんである。
　　なお、「大学だいがくを卒業そつぎょうしたのは、台湾たいわんに来くる２年前ねんまえです。」という文ぶんでは、『台湾たいわんに来くる』が『２年前ねんまえ』を修飾しゅうしょくする語句ごくになっている。このような場合ばあい、現在げんざい（話はなしているとき）よりも過去かこの出来事できごとであっても、『来くる』とル形けいを使つかう。『台湾たいわんに来きた』のようにタ形けいにすると不自然ふしぜんになる。
　　近ちかい過去かこを表あらわす「まえ」と「さき」
　　また、「まえ」と「さき」は、どちらも近ちかい過去かこを表あらわすことがある。なお、「前まえ」よりも「先さき」の方ほうがていねいな（硬かたい表現ひょうげん）である。
　　詳細しょうさいは前まえにお知しらせしたとおりです。
　　詳細しょうさいは先さきにお知しらせしたとおりです。〈より硬い表現〉
　　どちらの例文れいぶんも近ちかい過去かこを表あらわしている。具体的ぐたいてきにどの程度ていどの過去かこをいうかは文脈ぶんみゃくによって異ことなるが、例文れいぶんの場合ばあい、「詳細しょうさいのお知しらせ」があったのは１?２週間しゅうかんから１ヶ月かげつくらい前まえのことだろう。少すくなくとも、１年前ねんまえや２年前ねんまえといった過去かこを指さしていると解釈かいしゃくすることは難むずかしい。
　　※なお、「過去かこ」を表あらわす場合ばあいの「先さき」は、未来みらいなどを表あらわす場合ばあいの「先さき」とはアクセントが異ことなるので注意ちゅういすること。
　　先【名詞】（さき〔0〕）［未来みらい?空間くうかん?順番じゅんばん］
　　先【名詞】（さき〔1〕）［過去かこ］
　　空間くうかんを表あらわす「さき」と時間じかんを表あらわす「まえ」
　　文ぶんの形かたちが同おなじでも、「さき」が空間くうかんを表あらわし、「まえ」が時間じかんを表あらわすことがある。たとえば、道案内みちあんないをするような場合ばあいである。
　　道案内みちあんないで、前方ぜんぽうに進すすむことをいう場合ばあいには「さき」を使つかう。「まえ」を使つかうと、来きた道みちを戻もどる意味いみになってしまう。
　　たとえば、
　　すみません。ここを右みぎに曲まがれば駅えきでしょうか。
　　と質問しつもんされたとき、
　　ここではありません。２つ先さきを右みぎです。
　　と答こたえれば、道みちをそのまま進すすんで、２つ目めの角かどを右みぎに曲まがることになる。一方、
　　ここではありません。２つ前まえを右みぎです。
　　と答こたえれば、来きた道みちを戻もどって、２つ目めの角かどを（本来ほんらいの進行方向しんこうほうこうに対たいして）右みぎに曲まがることになる。
　　順序じゅんじょを表あらわす「まえ」と「さき」
　　「まえ（前）」にも「さき（先）」にも順序じゅんじょを表あらわす意味いみがある。この場合ばあいは、「まえ」も「さき」も同おなじ意味いみだが、使つかい方かたに違ちがいがある。
　　「前まえ」では、「?の前まえに」「?する前まえに」の形かたちになるが、「先さき」ではそうならない。
　　夕食ゆうしょくの前まえに風呂ふろに入はいる。
　　夕食ゆうしょくを食たべる前まえに風呂ふろに入はいる。
　　夕食ゆうしょくの先さきに風呂ふろに入はいる。
　　夕食ゆうしょくを食たべる先さきに風呂ふろに入はいる。
　　「先さき」では「?より先さきに」の形かたちになる。「前まえ」の場合ばあいは、やや不自然ふしぜんになる。また、「先さき」は、「先さきに」の形かたちで副詞的ふくしてきに用もちいることもある。
　　夕食ゆうしょくより先さきに風呂ふろに入はいる。
　　??夕食ゆうしょくより前まえに風呂ふろに入はいる。
　　先さきに風呂ふろに入はいる。
　　前まえに風呂ふろに入はいる。
　　特別とくべつな意味いみ
　　「まえ」にしかない意味いみ
　　「まえ」には、〈中心ちゅうしんや中央ちゅうおうよりも先頭せんとうや始はじまりに近ちかい部分ぶぶん〉という意味いみがある。
　　たとえば、教室きょうしつで「前まえ（の方ほう）」といえば、中央ちゅうおうよりも黒板こくばんや先生せんせいに近ちかい部分ぶぶんのことをいう。
　　「さき」にしかない意味いみ
　　「さき」には、〈細長ほそながいいものなどの先端せんたん〉という意味いみがある。
　　「ナイフの先さき」、「ペンの先さき」、「指ゆびの先さき」などのように使つかう。