日語文法;関西弁
関西弁の1つの特徴には「て」を省略することです(大津由紀雄 96)。次の例文を見てください。
(1)
a.健は自分が悪いって言った。
b.健は自分が悪い 言った。
(1b)は(1a)の「悪いって」の「て」を省略したものです。このように関西弁では「て」を省略するのですが、どのような場合にも「て」を省略するわけではありません。つぎの例を見てください。
(2)
a.健は自分が悪いって叫んだ。
b.健は自分が悪い 叫んだ。
(2b)は(2a)の「て」を省略したものですが、関西弁でもこの「て」の省略は許しません。この場合はどうしても「て」を省略することができないのです。主節の動詞が「言う」の場合は関西弁では「て」を省略でき、「叫ぶ」の場合は「て」を省略してしまうと非文になってしまうと考えると、ちょっと例外も出てきてしまいます。次の例文を見てください。
(3)
a.健は自分が悪いって悲しそうに言った。
b.健は自分が悪い 悲しそうに言った。
(3a)は主節の動詞は「言う」という動詞なのですが、(3b)では「て」を省略すると非文になってしまいます。関西弁でも「言う」という動詞でも「て」を省略することができない場合もあるのです。(3b)は「て」を省略したために非文となってしまっているのです。
文はある情報を伝達するために発せられます。しかも情報は1つ新しいものを伝える場合に1つの文で発するようになっています。この場合、1つの文に情報の中心となる主部と述部が2つ以上ある場合にはどちらが重要な新しい情報であるかを明確にする規則がなくてはなかなか相手に自分の意図する情報を伝達することができません。そのため、一般には言語では発話のどの箇所に新しい情報を入れるかという大まかな規則があります。日本語の場合は主語のあとに新しい情報をおくのが一般的で、英語の場合は文の最後の方に新しい情報をおくのが一般的です。(1a)の場合は「自分が悪いって」が重要な情報を担っています。このような場合には関西弁では「て」を省略することが可能となります。(2a)の場合は「叫んだ」という動詞が重要な情報を担っていますのでこの場合はその前の情報を古い情報として「て」をつけますよという信号を送っていることになります。また(3a)の場合は「悲しそうに言った」が重要な情報を担っていますから、(1a)と同じ「言った」という動詞を使っている場合でもその前の情報は古い情報ですよと「て」がつけられます。この「に」は一般に補文標識と呼ばれています。英語ではthatに当てはまります。次の例文を見てください。
(4)
a.Ken said that he was wrong.
b.Ken said he was wrong.
c.Ken shouted that he was wrong.
d.Ken shouted he was wrong.
e.Ken said sadly that he was wrong.
f.Ken said sadly he was wrong.
英語でも補文標識のthat はsayの場合は省略することができますが、shout の場合はthatを省略してしまうと非文になってしまいます。また同じsayの場合でもsadly と副詞がつくとthatは省略不可能になってしまいます。日本語の関西弁と同じく、英語においても補文標識のthatの省略に関しては同じ規則が当てはまるのです。
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